進むべき道

EUと日本は、新型コロナウイルス感染症が流行する直前の2019年に、「持続可能な連結性及び質の高いインフラに関するパートナーシップ」に署名しました。このパートナーシップは、戦略的パートナーシップ協定(SPA)および経済連携協定(EPA)を含む、EU・日本間のより広範な協力計画の一部です。

これらすべての協定は、EUと日本だけでなく、世界の他の国々にとっても公平な競争の場を作り出し、平和と安定をもたらすことを目的・目標としています。連結性パートナーシップは、世界の2大経済圏が現在の世界秩序を守るために協力したものと見ることができます。

このパートナーシップは、「透明性のある調達慣行、債務の持続可能性の確保、経済・財政・金融・社会・環境の高水準での持続可能性」を追求しています。

連結性パートナーシップの背景には、世界的な地政学的変化があります。2015年にミレニアム開発目標(MDGs)から持続可能な開発目標(SDGs)に移行したことで、開発協力の在り方に対する認識が変わりました。SDGsを達成するには、10 倍以上の資金が必要となります。

公的資金および民間資金のフロー全体に占める政府開発援助 (政府援助) の割合は縮小しており、民間の機関や企業の関与を促すための戦略的支援が求められています。開発協力はもはや貧困の削減に関するものだけでなく、質の高い仕事や経済成長、清潔な水、安価でクリーンなエネルギーの提供、および産業、イノベーション、インフラの開発にも関わっています。

EUと日本はともに開発協力の推進者です。人道的理由だけでなく、自国の利益のために他国を支援する資金と知識を有しています。グローバルな相互依存の世界では、すべてがつながっているのです。

「持続可能な連結性及び質の高いインフラに関するパートナーシップ」は、このような観点から見る必要があります。持続可能な連結性は、私たちの生活のあらゆる側面に関係する地政学的な手段であり、インフラに関するものだけではありません。