日本とヴィシェグラード・グループ

中欧における協力体制のシンボルとなっているヴィシェグラード城

戦略的・経済的パートナーシップの締結後、日本とEUの協力関係は活発化しています。一方、EU内の地域グループと日本の間でも、アイデアや意見、物品のやりとりが盛んになっています。ポーランド、チェコ、ハンガリー、スロバキアを結ぶヴィシェグラード・グループ(V4とも呼ばれる)と日本との協力関係は、近年、それぞれの外交戦略の重要な柱となるまでに拡大しています。

 「V4+日本」のパートナーシップは、V4諸国のEU加盟が間近に迫っていたことや、比較的安価で熟練した労働力を有していることを背景に、2000年代初頭に生まれました。時が経つにつれ、協力関係は拡大・多様化し、国連気候変動会議前の調整や、英国のEU離脱の影響、新型コロナウイルス感染症のパンデミックに関連する問題、西バルカン諸国への支援などの課題に取り組んできました。

 近年、連結性がこの枠組みの不可欠な要素として浮かび上がってきました。2021年、ポーランドで開催された第7回「V4+日本」外相会合において、茂木敏充外相(当時)は、サイバーセキュリティと連結性に関する「V4+日本」セミナーや科学技術に関する共同研究などに関して「大きな成果」であると称賛しました。

 この協力関係はV4の外交政策における優先事項の不一致により損なわれることもありますが、近い将来、さらなる協調が進む可能性は高いでしょう。ロシアのウクライナ侵攻はV4にとって最重要の政治課題であり、ウクライナの戦後復興に関して日本と協力する余地も大きいといえます。

ミハル・コルマシュ
メトロポリタン大学プラハ准教授、チェコ国際関係ジャーナル(cjir.iir.cz)編集長。主な研究テーマは日本の外交政策、環境政策、社会規範。

 

前の記事へ
前の記事へ

連結性の本当の意味とは

次の記事へ
次の記事へ

欧州と日本:潜在能力を最大限に発揮