欧州と日本:潜在能力を最大限に発揮

欧州と日本、EUと日本、NATOと日本の関係が強化されています。ここ数十年、経済的・地政学的な不安定さは増しており、2008年の金融危機および中東での戦争によって、米国のリーダーシップは弱まっています。ロシアのウクライナ侵攻や中国の台湾に対する脅威は、より強力なパートナーシップの必要性を浮き彫りにしています。欧州と日本は、共通の利益、価値観、目標を持つ重要なパートナーとしてお互いを認識しています。

NATOと日本の結びつきは大幅に強化されました。日本は2022年、2023年のNATO首脳会議に出席しており、今年も招待されています。イェンス・ストルテンベルグNATO事務総長は2023年の首脳会議で、その重要性について「日本ほどNATOに近いパートナーは他にない」と説明しました。

EUと日本はデジタル貿易と経済安全保障の分野で協力を強化しています。軍事紛争のリスクを軽減するため、双方は特に半導体のグローバルサプライチェーンの維持とサイバーセキュリティの強化に共通の関心があることを認識しています。

「自由で開かれたインド太平洋」という日本のビジョンをNATOの安全保障の視点と一致させるため、「インド太平洋」の概念はEUやNATOレベルでの戦略的議論に組み込まれています。これは、AUKUS(豪、英、米)やクワッド(印、豪、日、米)といった地域安全保障の枠組みをNATOと結びつけ、ユーラシア大陸全域から太平洋に至るまでの安全保障の協力体制を推進するものです。

歴史的に、日本と欧州の安全保障協力は、地理的な制約と各国の優先事項によって制限されてきました。今日、双方はより緊密な協力の必要性を認識しています。長年の話し合いの末、ようやく日欧、日EU、日NATO関係に実質的な動きが見られました。プーチンのロシア、習近平の中国、あるいはトランプの米国といった他の選択肢と比べると、これは将来に向けた前向きかつ民主的で開かれたビジョンを示しているといえるでしょう。

 

ポール・オシェイ
スウェーデンのルンド大学東アジア・東南アジア研究センター上級講師。専門は日本の外交・安全保障政策と東アジアの国際関係。

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