デジタル化とサービスの鍵は連結性
OECD経済の中で最も大きな部分を占めているのはサービス分野です。GDPの70%以上がサービス分野から生み出されており、雇用全体でもほぼ同じ割合を占めています。同様の展開は多くの発展途上国でも見られます。
技術開発と接続性の向上に伴い、新しい形態のサービスが将来の経済発展にとって不可欠なものとなっています。デジタル化とサービスは、日本とEUの双方にとって重要性が増している分野です。デジタル化によって民間部門と公共部門の両方が効率性を高め、新しいサービスの開発力が向上します。これは、日本とEUでスマートな公共部門と競争力のある産業部門を生み出す新たな可能性を示しています。
こうした発展は、国内および日本・EU間の連結性を強化するという熱意の中核をなすものです。パンデミックによって、デジタル化が強力な役割を果たす強靭な社会が重要であることが示されました。さらに、デジタル化は、デジタルサービスの開発と、製造された商品とサービスの接点における価値の促進、いわゆるサービタイゼーション(サービス化)の基盤を構築します。
この発展の中心にあるのは、連結性です。それは、インフラ、データの転送、研究と教育の協力を通じた人と人との交流、そして持続可能で強靭な社会の発展に関連しています。言い換えれば、連結性はグリーン経済への移行のまさに中心にあるのです。
分野や産業を横断する水平的な連結性の向上がなければ、日本とEUがグリーン経済の野心的な目標を達成することは困難でしょう。連結性は、エネルギー分野などの産業を変革するのに役立ちます。デジタル化とサービスは、再生可能エネルギーによる発電や、おそらくそれ以上に重要な、スマートで強靭かつ効率的な送電網に関連する新たな枠組みをつくるために必須の要素です。日本とEUにとって、連結性がもたらす潜在力は明らかですが、協力関係を通じて発展途上国にも新たな可能性をもたらすはずです。
パトリック・ストロム
ストックホルム経済大学欧州日本研究所(EIJS)およびアジア研究センター(CAS)所長。主な研究テーマは、高度なサービス産業の発展とサービス・知識集約型経済への転換。これにはグリーン経済への移行も含まれる。